4. フラクタル構造


ブッダは、宇宙は無限だが、塵のようであり、塵の中にもまた無量宇宙があると教えている。
即ち、彼の宇宙は水平的に無限だというだけでなく、垂直的にもフラクタル構造となって連続している宇宙、繋がっている宇宙である。
ここで少しフラクタル(fractal)という用語について、スウェーデンの数学者コッホ(Helge von Koch) が考案した一種の雪結晶模様を例に挙げて説明してみることにしよう。

[先ず、正三角形を一つ描いてみる。そして各辺を3等分し、1辺の3分の1の長さをもつ小さい正三角形を各辺の上に付け足す。
すると、その模様は六角形の星模様になる。
今度は、その六角形の外側の6個の三角形の両辺をさらに3等分した正角形を付け足す。どうなるかと言うと、18個の正三角形が付け足されたトゲトゲした六角形模様となる。
今度はその18個の正三角形の外側両辺に、同じ方法で新しい小さな三角形を付け足す。
このように新しい三角形を作っていくというのが、即ち“超雪結晶”と呼ばれるものである。
このような図形では初めの三角形がいくら大きくても、またいくら精巧に手を加えていったとしても、直ぐにいくつかの新しい三角形が、これ以上手で描くことができない程に小さくなってしまうのだ。
幾何学では、点というのは0次元であり、線は1次元であり、平面は2次元、立体は3次元だと定義している。
しかし“超雪結晶”の境界線は果てしなく毛羽立っているだけではなく、各点から突然方向転換しているので、それを正常な線だとは考えにくく、といって平面だと言い切れる訳でもない。
即ち、それは1と2の中間の次元を持っているということであり、フランス生まれであるアメリカの物理学者マンデルブロ(Benoit B. Mandelbrot)はその次元を、log4をlog3で割った数値で考えるのが妥当であると明らかにした。この数値は約 1.26186である。従って“超雪結晶”の境界線は、1¼をちょっと超える次元を持つのである。
“超雪結晶”と同じ定数ではなく、分数の次元を持つこのような図形をフラクタルという。

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