12. 再び10の30乗の倍率 |
フラクタル構造で繋がっているマクロ世界とミクロ世界の間で、時間の流れは空間の大きさに反比例するという宇宙観の正確性をあらためて確認する為に、最後に分子と局部銀河団の運動に関して説明しよう。
分子は、いくつかの原子が引力によって結合しているものであり、物質の特性を持つ最小の単位である。
分子を構成する原子はその中心を通る軸の周りを回転し、また原子は相互間に震動運動をしながら、同時に分子全体の引力の中心を周回している。
マクロ世界とミクロ世界がフラクタル構造となって繋がっているというブッダの宇宙観で我々の宇宙を考察すると、銀河系と隣接するいくつかの銀河で構成されている局部銀河団は、ある巨大な存在の細胞内にある一つの分子であると考えられる。
我々の銀河系を含む局部銀河団は約30個の大小の銀河で構成されているが、それぞれの銀河は銀河の中心を軸に回転しながら、局部銀河団全体の引力の中心を周回している。
もし、ブッダの宇宙観と、空間の大きさによって時間の流れ方が違うという筆者の見解が正しければ、分子と局部銀河団の運動速度の比率は前述した計算結果の通り、約1 :(10の30乗)の数値を現わすであろう。
分子構造の中で原子は相互震動しながら、同時に引力の中心を軸にして回転しているので、多原子分子内での原子の運動は 3方向の自由度を持つ極めて複雑な様相を見せる。
分子の標準振動数は1秒当たり(10の13乗)回で、回転数は毎秒当たり(10の11乗)回だと言われる。
従って、分子が1回震動するのに(10の-13乗)秒かかり、1回転には(10の-11乗)秒かかる。
このように分子の震動運動は回転運動より100倍早いので視覚的には主に震動運動が目に付くだろう。
故に局部銀河団の運動と分子の運動を比較するにあたっては、震動運動の方を考慮にいれることが妥当であろう。
この場合も、勿論分子の種類によってその運動速度は違い、また我々の銀河系が含まれている局部銀河団がどのような分子に該当するのか分からないため、このような比較は意味がないという見解もあろう。しかし前にも言及したように、筆者の意図は宇宙の構造を大局的に考察することにあるので、分子の標準的な運動と我々の銀河系が属している局部銀河団の運動を比較するのが適当でないだとは言えないだろう。
いずれにせよ、ブッダの宇宙観と筆者の時間に対する見解に妥当性がなければ、このような種類の試みとしては何らの答えも導き出せなかっただろう。
我々の銀河系からアンドロメダ星雲までの距離は約250万光年あり、そのアンドロメダ星雲は秒速約300kmの視線速度で我々の銀河に近づいていると言われる。
しかし、銀河系の周りを公転している太陽系の現在の運動方向は、アンドロメダ星雲の方角に向けられている。従ってこれを計算に入れると、実際にアンドロメダ星雲が我々の銀河系の中心に向け移動している速度は、秒速約50kmとなる。
もしマクロ世界の局部銀河団とミクロ世界の分子がフラクタル構造となって繋がっているのであれば 、銀河も分子内の原子と同じく、回転運動をしながら同時に震動運動をしているはずである。この場合、震動運動が回転運動より100倍も速いので、私たちが観測できる銀河の運動量は、殆ど震動運動によるものと考えられよう。
従って、アンドロメダ星雲が我々の銀河系の中心へ向けて秒速50kmで移動しているという現象は、アンドロメダ星雲の震動運動だと見なすことが出来る。
アンドロメダ星雲が1回の震動によって移動する距離は、現在の位置から局部銀河団の中心までの往復の距離になると考えられるので、その距離は約250万光年になる。
これを秒速50kmで割ると、アンドロメダ星雲の1回の震動にかかる時間を弾き出すことが出来る。
250万光年 ÷ 50
= (300,000km x 60 x 60 x 24 x 365 x 2,500,000) ÷ 50
= 4.73 x(10の17乗)秒
従って、
分子の振動周期 : 局部銀河団の振動周期
=(10の-13乗)秒 : 4.73 x(10の17乗)秒
= 1 : 4.73 x(10の30乗)
この計算結果も前述の予測通り、ミクロ世界とマクロ世界の倍率と一致するのである。
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