9. アンドロメダ星雲と分子震動 |
フラクタル宇宙論はシンプルな論理を基礎としているので、この理論は相応しいデータが揃っている一つの宇宙の、様々な現象にも簡単に適用出来るだろう。
それではこの新しい思想を再度検討する為に、さらにもう一つ別の例を挙げてみよう。
分子はいくつかの原子が結合されて作られるが、その結合力は原子間の引力である。そして、いくつかの銀河が集まって銀河群は形成される。
銀河群というシステムを形成する力は銀河の重力である。
フラクタル宇宙論では、分子と銀河群は互いに対応しているので、両者の特定運動速度の比率は当然のように、[1:(10の30乗)]を現すと予測出来る。
分子構造の中で、原子は相互震動しながら、分子全体の引力の中心を周回している。
分子の運動において、標準的な振動数は毎秒(10の13乗)回であり、標準的な回転数は毎秒 (10の11乗)回である。
このような分子の運動は、勿論分子の種類によって、そして同一分子でも、その位相によって異なって現われる。
しかし、この標準運動値は10倍の偏差を考慮して、マクロ世界の運動と比較するのには、十分に妥当な数値だと言うことが出来よう。
よって、分子の震動周期は (10の-13乗)秒、その回転周期は、(10の-11乗) 秒として表示出来るだろう。
ところで、この二つの運動を比較してみると、震動運動は回転運動よりも100倍早い速度で起きていることが分かる。
原子は全体の引力の中心を一回周回する間、100回の震動をしている。
言ってみれば、原子は震動する度に少しずつ引力の中心の周囲を移動し、100回の震動が行われた時点で一回転を終える事になるのである。
従って、もし私たちが原子の動きを肉眼で観察することが出来たとしたら、原子の運動は殆ど震動運動と映るだろう。
全ての銀河群は、我々のいる場所から遠く離れているので、銀河群内で起きている銀河間の相対的な運動に対して、詳しく観測することは不可能である。
こうしたデータを求めることができる唯一の銀河群は、宇宙広しと言えども我々の銀河系が属している局部銀河団だけであろう。
我々の銀河を含む局部銀河団は、この宇宙の中で特に珍しい銀河群ではない。従って私たちは、この局部銀河団の運動を標準的なものと見なして差し支えあるまい。
銀河群の中で銀河は、全体重力の中心を公転している。
アンドロメダ星雲は、我々の銀河系の向かい側に位置し、現在我々に向かって秒速50kmの速度で近づいている。
天文学者たちは、アンドロメダ星雲が銀河群の重力の中心を公転する過程で、我々に近づいているのだと解釈している。
しかしフラクタル構造の宇宙では、銀河群は分子に相当する。
従って、銀河群内の銀河も分子の中の原子のように、震動運動と回転運動を同時に遂行していることだろう。この場合、震動運動は回転運動よりも100倍早く行われるので、私たちが観察している銀河の運動とは、殆ど震動運動に起因しているのだと思われる。
つまり、アンドロメダ星雲の接近速度とは、その震動運動の速度だと考えられるのである。
我々の銀河系とアンドロメダ星雲は局部銀河団に位置する中心銀河である。
アンドロメダ星雲が、私たちのいるこの場所に近付いているという事実は、我々の銀河系もやはり、アンドロメダ星雲へ向かって移動しているという事実を含む。
よって、アンドロメダ星雲の震動運動は現在の位置から局部銀河団の中心まで来た後、また元の位置に戻る過程となるだろう。
両銀河間の距離は250万光年なので、アンドロメダ星雲が一度震動することで移動する距離も 250万光年となる。
これで、250万光年をアンドロメダ星雲の接近速度の秒速50kmで割れば、その震動周期が明らかになるだろう。
250万光年 ÷ 50km/sec
= (2,500,000 x 365 x 24 x 60 x 60 x 300,000km) ÷ 50km/sec
= 4.73 x (10の17乗)秒
∴ 分子の震動周期 : 局部銀河群の震動周期
= (10の-13乗)秒 : 4.73 x (10の17乗)秒
= 1 : 4.73 x (10の30乗)
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