5. 空間側面での考察


ここからは各対応要素の大きさの比率を、順に計算してみることにしよう。
ここで使われているあらゆるデータは、現代科学が導き出したデータである。
前述した通り、全ての対応要素の大きさの比率が、常に一定しているかどうかを確認する事をここでは目的とする。

先ず、[原子核:銀河核]から始めよう。
入り組んだ複雑な説明を必要とするため、[素粒子:星]は最後に計算することにする。
今から始めるある計算では、該当する要素の平均半径を用いて計算をすることになる。こうした要素は、大抵外見が丸い形態で似たような姿をしている。
一方、別の計算では直径または一般的な大きさを使って計算するが、そのような要素は大抵外観がまちまちなものである。

(1) 原子の中心には原子核がある。
原子核の半径は、原子の半径の約10万分の1、即ち (10の-13乗)cm程である。
銀河はその中心に銀河核がある。銀河核の大きさは直径1光年を超えることはない。
我々の銀河系の場合、その直径は約0.65光年である。
最近、クエーサーは激しく活動する銀河核であることが明らかになったが、全てのクエーサーの直径は、1光年を超えないことが観測されている。
従って、私たちは我々の銀河系の核を標準と見なすことが出来よう。
よって、銀河核の平均半径は0.33光年となる。

原子核の半径: 銀河核の半径 = (10の-13乗)cm : 0.33光年
= (10の-18乗)km : 3.12 x (10の12乗)km
= 1 : 3.12 x (10の30乗)

(2) 原子の半径は一般的に1Å(1オングストローム)、即ち(10の-8乗)cmとして表示される。
銀河の直径は、10,000から100,000光年の間のサイズであるので、その平均半径を30,000光年と見なすことが出来る。

原子の半径 : 銀河の半径 = 1Å (1オングストローム): 30,000光年
= (10の-13乗) km : 2.84 x (10の17乗)km
= 1 : 2.84 x (10の30乗)

(3) 分子の種類はあまりにも多く、その大きさも一様でないため、分子の平均的な大きさを決めるのは非常に難しい。
小さな分子の場合、その形を球形と見なせば、大抵直径1Åから10Åの範囲内におさまっていると言われる。
生体構造の中で標準的な高分子は蛋白質である。そしてその蛋白質はアミノ酸で構成されているため、生体構造の中で標準的な分子はアミノ酸分子であると言って良いだろう。
蛋白質構造の代表的なものは、アルファ螺旋構造であるが、この構造の中でアミノ酸は大抵直径5Åの大きさを持っている。
よって、分子の平均直径は5Åと設定することにしよう。
銀河群は、数個から数十個の銀河が集まって形成され、その平均的な大きさは、直径約150万光年と観測されている。

分子の直径 : 銀河群の直径 = 5Å(5オングストローム): 150万光年
= 5 x (10の-13乗)km : 1.42 x (10の19乗)km
= 1 : 28.4 x (10の30乗)

(4) 生体組職の中での基礎的な生命物質は、蛋白質、糖、核酸等の高分子だと言える。
高分子の大きさもやはり非常に多様であり、その平均的な大きさを決めるのは困難である。
よって、私たちは標準的な高分子を選び、その大きさを平均的な大きさとするしか方法はあるまい。
生体組職の中では蛋白質が最も多くの部分を占めているので、蛋白質を高分子の中心として考えることにしよう。
蛋白質の中で最もスタンダードなものは、約200個のアミノ酸で構成されている。
よって、私たちは200個のアミノ酸で構成された蛋白質を、高分子のモデルと見なすことが出来るだろう。
その蛋白質の大きさは、約300Å程である。
いくつかの原子が結合して分子になり、分子が集まって高分子を形成する。
このような過程は、マクロ世界でも同様に繰り返されている。銀河は重力で結合されて銀河群を形成し、銀河群が集まって銀河団を形成する。
銀河団は大体50個以上の銀河で成り立っており、その範囲は約1千万光年にも至る。

高分子の大きさ : 銀河団の大きさ
= 300Å(300オングストローム) : 1千万光年
= 3 x (10の-11乗)km : 9.46 x (10の19乗)km
= 1 : 3.15 x (10の30乗)

(5) 細胞内の実質的な生命作用は、ミトコンドリア、ミクロチューブル、ゴルジ体等の細胞内小器官によってなされる。
そして、このような小器官はまさに高分子の結合体である。これらは大抵ミクロン単位の大きさを持っている。
よって、細胞内小器官の平均的な大きさを5ミクロンと設定しておこう。
この計算には10倍の偏差が許容されるので、殆ど全ての小器官はこの偏差内におさまるだろう。
細胞内小器官が細胞の最終段階であるように、宇宙における最終段階とは超銀河団である。
1980年以来、天文学者たちは、バブル構造、杭構造、グレートウォール(Great Wall:宇宙の万里の長城)等の超銀河団を観測している。
このような超銀河団の規模は数億光年にも達する。
よって、超銀河団の平均的な大きさは5億光年と設定しよう。
10倍の偏差を考慮すれば、殆どの超銀河団がこの偏差の中に入るだろう。

細胞内小器官の大きさ : 超銀河団の大きさ = 5ミクロン : 5億光年
= 5x(10の-9乗)km : 4.73x(10の21乗)km
= 1 : 0.95 x (10の30乗)

(6) 人の身体は、約60兆の細胞で成り立っている。
細胞の形は殆ど球形であり、その大きさは直径10ミクロンから100ミクロンまでのサイズである。
よって、私たちは細胞の平均半径を25ミクロンと見なすことが出来る。
宇宙の半径は、学者によって100億光年から300億光年と言われ、主張に違いがあるが、現在では150億光年が最も広く受け入れられている。
よって、宇宙の半径は150億光年としよう。

細胞の半径 : 宇宙の半径 = 25ミクロン : 150億光年
= 2.5 x (10の-8乗)km : 1.42 x (10の23乗k)m
= 1 : 5.68 x (10の30乗)

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