チョ・ギョンチョル
(趙慶哲- 韓国宇宙環境科学研究所長)


専門家とアマチュアの権威と貢献度は分野により千差万別である。
音楽と美術の世界にはアマチュアが足を踏み入れる余地は殆どない。
囲碁の世界では実力の差があまりにも著しく、アマチュアでは相手にもされないだろう。哲学、考古学、その他の自然科学分野の殆ど全てが、大学という神聖な“搖りかご”の中で育たなかったとしたら、その大学というエリアの外側の人間がいくら努力し、同じ学識を独学で体得したとしても、学会誌に論文を載せる等の発表の機会は全く与えられないのである。
このように‘プロ’の世界は宗教以上に頑固で排他的である。
しかし‘アマチュアリズム’が最高の評価を受ける舞台もある。
それはオリンピック(Olympic) 競技である。ここだけは‘プロ’は徹底的に締め出される。文学界でも型にはまった大学講義を通して育てられた作家よりは、初々しい感性を鋭く豊かに自由な巷間で成熟させた目と筆力を尊重してくれる。

天文学は他の科学分野とは違い、そのように自閉的ではない。
例えば、変光星観測情報や彗星及び小惑星、新星等の発見活動の中でのかなり大きな範囲をアマチュアに依存している。
日本だけに話を絞ってみても、アマチュア天文専門家の貢献は世界的に高く評価を受けている。
韓国での事情はどうだろうか?
執念の強さでは日本人に一歩も引けをとらないが、天文宇宙よりは、俗世間の仕事により一層関心あるせいか、私はまだこれと言った特別優秀なアマチュア科学者を見たことがない。
しかし、とうとう待ちに待った一人の男が現れた。
彼の名をヂョン・ユンピョ(鄭潤杓)と言う。

彼の本業は荒波をかきわけ、全世界の海を縫うように進んでいった大型船舶の船長であった。
彼は広大な宇宙と極微の世界の間に一貫した定数関係があるのではないかという考えに挑戦しようと、20年に渡る船長生活さえ放り投げ、この問題に沒頭し始めた。
彼はキリスト教の聖書で見られる単純な宇宙創造の過程よりも多角的で奥深い仏教の宇宙観を調査し、超ミクロの存在から大宇宙まで“10の30乗”と言う単位で連鎖を作り上げているミクロとマクロ世界の華麗なる演奏を披露しようとした。
勿論、そういった研究調査を部分的に試みた他の科学者もいるにはいたが、このように広範囲に努力をした者はいなかったであろう。
多少、自分の考えの枠の中に無理に当てはめようとしたような敍述も目に付くが、それはこの分野の‘プロ’ではないからという著者の心意気がそうさせたのであろう。

この本は、海の男特有の情熱を注ぎ著す意欲に溢れる科学手記だと言える。
この本に盛り込まれた努力の所産は‘プロ’が軽く評価するにはあまりにも重すぎる。
たとえ‘プロ’科学者だと言っても自分が成し遂げようと言う考えや意欲さえ沸かなかった問題に、果敢に挑戦した著者の苦労に拍手を送る雅糧を持たなければならないだろう。
万一、ある‘プロ’科学者が著者の1030定数論が間違っていると正確に証明する論説や本を発表したとしても、この本はそれなりの貢献をしたということになるであろう。





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